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画像説明, 打ち上げに成功した宇宙船「神舟12号」2021年6月17日中国は17日午前、北部のゴビ砂漠にある酒泉発射センターから建設中の宇宙ステーション「天宮」に向けて、宇宙飛行士3人を乗せた宇宙船「神舟12号」を打ち上げた。中国の有人飛行ミッションは約5年ぶり。
聶海勝飛行士、劉伯明飛行士、湯洪波飛行士の3人は、地球から約380キロ上空にある天宮の中核モジュール「天和」に3カ月間滞在し、任務にあたる。これまでで同国最長の有人宇宙ミッションとなる。
中国は今回のミッションで、宇宙空間における自信と能力の高まりを新たに示すことになる。
ここ半年ほどの間で中国は、月面から岩石や土壌のサンプルを地球まで持ち帰り、6つの車輪で移動する探査車を火星に着陸させた。いずれも非常に複雑で困難な試みだった。
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中国の月面探査機が帰還44年ぶりにサンプル持ち帰る中国、月の裏側に着陸何をしようとしているのか「天宮1号」が南太平洋上で大気圏に突入=米中報道画像提供, Reuters
画像説明, 「神舟12号」に搭乗の湯洪波飛行士(左)、聶海勝飛行士(中央)、劉伯明飛行士(右)。搭乗前の検疫のため、ガラス越しで記者会見に応じた(16日)22.5トンの中核モジュール「天和」を使用可能にすることが、聶飛行士率いるチームの一番の目的だ。
「期待していることがたくさんある」と聶氏は述べた。「私たちは宇宙に自分たちの新たな家を設置し、一連の新しい技術を試す必要がある。そのため、厳しく、挑戦的なミッションになる。私たち3人が緊密に連携し、徹底して正確な任務を遂行すれば、困難を乗り越えられると信じている。私たちにはミッションを完遂できる自信がある」。
長さ16.6メートル、幅4.2メートルの天和は4月に打ち上げられた。居住区や科学実験室、ハッブル望遠鏡などを備え、最終的に重さ70トン近くになる軌道前哨基地の中核部分だ。
今後数年の間に、様々な要素が順番に打ち上げられる予定。宇宙ステーション建設には定期的な貨物輸送とクルーの投入が伴う。
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画像説明, 「神舟12号」打ち上げミッションのワッペン中国当局は、神舟12号の宇宙飛行士の身元を16日の記者会見まで伏せていた。
聶氏(56)は2度の宇宙飛行の経験を持つベテラン宇宙飛行士。2013年に宇宙ステーションの試作機「天宮1号」に15日間滞在したことがある。過去には、中国人民解放軍空軍で戦闘機のパイロットとして訓練を受けた。
劉氏(54)と湯氏(45)も空軍出身。劉氏は2008年に打ち上げられた神舟7号のミッションで、中国初の船外活動を行った。
湯氏は今回が初の宇宙飛行となる。
天和滞在中に必要となる食料や燃料、機材は先月、ロボット貨物船で輸送された。船外活動に必要な宇宙服2着も含まれている。
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画像説明, 中国有人宇宙プロジェクト弁公室の季啓明主任助理(補佐)は、外国人宇宙飛行士が中国の宇宙ステーションに行けるようになると想定していると述べた中国が単独で宇宙ステーションを開発している理由の1つは、国際宇宙ステーション(ISS)計画から除外されていることにある。この計画はアメリカがロシア、ヨーロッパ、カナダ、日本と共同で行っている。
一方で中国は、同国の宇宙ステーションを外国に向けて開放する用意があるとしている。これは、まずは中国が主導する科学実験を念頭に置いているとみられるが、中国人以外の訪問も含まれている可能性が高い。
中国と技術を共有したことのあるロシアは以前、自国の宇宙飛行士を派遣する可能性に言及している。
16日に行われた、神舟12号のクルーを紹介する記者会見で、中国有人宇宙プロジェクト弁公室の季啓明主任助理(補佐)は、「我々はこの点については、おおむね歓迎している」と述べた。
「近い将来、中国の宇宙ステーションが完成した後に、中国と外国の宇宙飛行士が一緒に飛行したり、任務にあたる姿を見られるようになると信じている」
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画像説明, 「神舟12号」の打ち上げ。中国の有人宇宙ミッションとしては最長のものとなる(英語記事China to launch first crew to new space station)